試聴室

8月、代々木上原で狩野さんの個展が行われました。10000枚のCDを持つという試聴室での展示は、ひっそりとしていましたが、盛りだくさんでした。

所狭しと並べられたドローイングと詩の数々。そして、Studying about something のシリーズの投影。そして、庭に植えられた植物と、朽ち果てていく植物の変容。どれもが関わりを持ちながらひとつの展示になっていました。

特に、Studying about something は、1000枚を超える写真シリーズになり、さまざまな国や土地、時間を越えて、狩野さんの目に映るある一定の距離と空間、狩野さんは雰囲気と呼んでいますが、ある種の物質感や、静寂さが潜んでいて、じっと見ているとその静けさの中に引き込まれるようです。

一人の人間が、ひとつのテーマで世界中を見続けること。そこには何かしらの観察を続ける成果が形となって現れているのではないでしょうか。少し長いですが、しばらく投影を眺めていると不思議な静けさのなかに佇むことができます。今後も楽しみなシリーズです。

狩野さんは、今月から山口で滞在制作を行っています。


田多